「外国人だと、日本での転職はやっぱり不利ですか?」
転職支援をしていると、外国籍の方からよく聞かれる質問です。
率直に言うと、外国籍だからという理由だけで一律に不利になるわけではありません。一方で、日本企業が採用時に確認するポイントは、日本人候補者とは少し違います。
特に見られやすいのが、日本語での業務コミュニケーション、在留資格、なぜ日本で働きたいのか、日本で長く働く意思があるか、そして転職回数や退職理由です。
この記事では、採用人事とIT職種特化の転職エージェントの両方を経験した立場から、「企業側は外国籍候補者のどこを見ているのか」を率直に解説します。
外国人は日本で転職しにくいのか?
日本で働く外国人は増えています。厚生労働省の「外国人雇用状況」によると、2025年10月末時点の外国人労働者数は2,571,037人で、届出が義務化された2007年以降で過去最多でした。外国人を雇用する事業所数も371,215所と過去最多です。
つまり、日本企業にとって外国籍人材の採用は以前より一般的になっています。
ただし、「外国人採用が増えている=誰でも転職しやすい」という意味ではありません。企業側は採用後に問題なく業務ができるか、チームに適応できるか、長く働いてくれるかを慎重に確認します。
企業が外国籍候補者を見るときの5つのポイント
1. 日本語力は「資格」より実務で使えるか
外国籍の方の転職では、JLPT N1・N2が話題になりやすいです。
ただ、採用現場では資格だけで判断しません。質問の意図を理解できるか、自分の考えを日本語で説明できるか、わからないことを確認できるか、会議やチャットで仕事を進められそうか、といった実務面を見ています。
「N1だから大丈夫」「N2だから無理」ではありません。N2でも業務コミュニケーションがスムーズな人は評価されます。
N2での転職を詳しく知りたい方は、JLPT N2でも日本で転職できる?採用担当が見る日本語力と面接対策も参考にしてください。
2. N2の場合は「これからどう伸ばすか」も見られる
N2なら、N1ではないことだけを気にしすぎる必要はありません。重要なのは、現在どのくらい日本語を仕事で使えていて、今後どう伸ばすつもりなのかです。
NG例:
「仕事は英語でできるので、日本語は今のままで問題ないと思っています」
改善例:
「現在はN2ですが、仕事では日本語でミーティングやチャットを行っています。今後さらに業務の幅を広げたいので、N1取得に向けて勉強も続けています」
企業側が知りたいのは、資格名だけでなく、入社後も仕事の幅を広げられそうかです。
3. 「なぜ日本で働きたいのか」はかなり重要
外国籍候補者の面接では、「なぜ日本で働きたいのですか?」と聞かれることがあります。
これは単なる雑談ではありません。企業側は、日本で長く働く意思があるのかを確認しています。
年収アップを転職理由に含めること自体は問題ありません。ただ、「年収が上がればどの国でもいい」と見えると、長期就業への不安が出ます。
「なぜ日本なのか」「なぜその会社なのか」「日本でどんなキャリアを作りたいのか」までつなげることが大切です。
具体的な作り方は、外国人の志望動機はどう作る?日本企業が見ているポイントとNG例・回答例で詳しく解説しています。
4. 日本の職場で調整できるか
企業によっては、日本の職場文化やコミュニケーションに適応できそうかも確認します。
これは「日本人と同じ考え方をしなければならない」という意味ではありません。価値観が違ったときに、相手の背景を理解しながら相談・確認・調整できるかが重要です。
5. 転職回数と短期離職は想像以上に見られる
外国籍人材の転職で見落とされやすいのが転職回数です。
日本企業では今でも「長く働いてくれるか」を重視する企業が少なくありません。1年前後の短期離職が複数回続いている場合、採用側は「なぜ辞めたのか」「同じ理由でまた辞めないか」「次はなぜ長く働けるのか」を確認します。
ただし、転職回数が多いだけで即NGではありません。専門性が上がっている、役割が一貫している、キャリアの方向性が明確であれば評価は変わります。
詳しくは、外国人は転職回数が多いと不利?日本企業が短期離職を警戒する理由と伝え方で解説しています。
外国人エンジニアは技術力だけでは判断されない
ITエンジニアの場合、技術力が強ければ日本語が完璧でなくても採用されるケースはあります。
ただ、企業側は使用言語やフレームワークだけでなく、担当工程、設計経験、レビュー、顧客折衝、チームでのコミュニケーションまで見ています。
特に日本語中心の企業では、仕様確認・会議・チャット・レビューを日本語で進められるかが重要です。
エンジニアに絞った採用側の見方は、外国人エンジニアは日本で転職できる?採用側が見るスキル・日本語力・在留資格にまとめています。
職務経歴書では「何をしたか」より「どこまでできるか」を伝える
外国籍候補者の書類選考で意外ともったいないのが、職務経歴書です。
会社名と期間だけ、あるいは「Java / AWS / Python」のように技術名だけが並んでいると、採用側は実務レベルを判断できません。
プロジェクト概要、担当工程、チーム規模、自分の役割、成果・工夫、日本語をどの場面で使ったかまで具体的に書くと、入社後に任せられる仕事をイメージしてもらいやすくなります。
書類の具体例は、外国人向け職務経歴書の書き方|日本企業が見るポイントとNG例【エンジニア対応】を参考にしてください。
転職エージェントは企業にどう説明しているのか
転職エージェントを使う場合、候補者本人の履歴書・職務経歴書だけでなく、エージェントから企業へ推薦理由や補足情報を伝えることがあります。
たとえばN2の候補者でも、「面談は日本語で問題なく実施できた」「現職でも日本語で会議をしている」「N1取得に向けて勉強している」「日本で長く働く意思がある」といった情報を補足できれば、企業側の不安を減らせることがあります。
逆に、エージェントとの面談で転職理由や今後のキャリアが曖昧だと、企業への推薦時にも説明が難しくなります。
外国人の転職面接で企業が確認していること
外国籍の方の面接では、日本語力だけでなく「なぜ日本で働きたいのか」「今後も日本で働きたいのか」「なぜ転職するのか」「なぜその会社なのか」などを聞かれることがあります。
回答を丸暗記するより、企業側がなぜその質問をしているのかを理解することが大切です。
質問例とNG回答・改善例は、外国人の転職面接でよく聞かれる質問7選|企業側の意図・NG回答・改善例にまとめています。
在留資格は転職前に必ず確認する
外国籍の方が日本で転職する場合、現在の在留資格と転職後の仕事内容が合っているかは必ず確認してください。
たとえば「技術・人文知識・国際業務」では、転職後の仕事内容や個別状況によって必要な手続き・確認事項が変わる場合があります。
在留資格の判断は個別事情によって異なるため、転職先が決まったら出入国在留管理庁の最新情報を確認してください。
面接前に整理しておきたい5つのこと
- なぜ日本で働きたいのか
- なぜ今回転職したいのか
- 次の会社で何を実現したいのか
- 今後も日本で働き続けたいのか
- 日本語力を今後どう伸ばすのか
特に重要なのは、「日本で働きたい理由」と「今回の転職理由」を分けて考えることです。
「もっと年収を上げたい」だけでは、企業側から見ると「さらに高いオファーが出たらすぐ辞めるのでは?」という不安につながります。
そこに「今後はより上流工程にも挑戦したい」「日本で長期的にキャリアを作りたい」といったキャリア軸が加わると、転職理由の納得感が変わります。
日本語が完璧になるまで転職を待つ必要はない
「N1を取ってから転職した方がいいのかな」と考える方もいますが、必ずしもそうではありません。
求人によって求める日本語レベルは違いますし、英語中心で働ける会社もあります。特にITエンジニアなど専門性の高い職種では、技術力が強く評価されるケースもあります。
大切なのは、自分の現在地を正しく理解することです。N2ならN2のまま隠す必要はありません。その代わり、「現在どの程度仕事で使えているか」「これからどう伸ばしていくか」を説明できるようにしてください。
関連記事
- JLPT N2でも日本で転職できる?採用担当が見る日本語力と面接対策
- 外国人の転職面接でよく聞かれる質問7選|企業側の意図・NG回答・改善例
- 外国人は転職回数が多いと不利?日本企業が短期離職を警戒する理由と伝え方
- 外国人エンジニアは日本で転職できる?採用側が見るスキル・日本語力・在留資格
- 外国人の志望動機はどう作る?日本企業が見ているポイントとNG例・回答例
- 外国人向け職務経歴書の書き方|日本企業が見るポイントとNG例【エンジニア対応】
まとめ:外国籍でも、企業の不安を理解すれば転職は十分可能
外国籍だから、日本での転職が必ず不利になるわけではありません。
ただし、日本語力、在留資格、日本で働く理由、長期就業への意思、転職回数など、日本企業が気にするポイントを理解しておく必要があります。
企業が最終的に見ているのは、この人と一緒に仕事ができるか。会社で活躍してくれそうか。そして長く一緒に働けそうか。という点です。
自分では弱点だと思っている部分があっても、伝え方と準備で評価が変わることはあります。企業側の不安を理解したうえで、一つずつ説明できる状態を作って選考に臨んでください。
参考情報
※在留資格・申請手続きについては個別事情によって異なります。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の在留資格判断を行うものではありません。最新情報は出入国在留管理庁などの公式情報をご確認ください。