転職エージェントから「とりあえず30社くらい応募しましょう」と言われて、モヤッとした経験がある人は少なくないと思います。
結論から言うと、大量応募が正しいケースもあります。ただし、「なぜその応募数が必要なのか」を説明できないまま応募をすすめるなら、かなり危ないです。
この記事では、現役転職エージェントとしての実務感覚をもとに、大量応募が必要な人・不要な人、書類通過率が低いときに見るべきポイントを解説します。なお、30〜40社という目安や書類通過率の考え方は公的統計ではなく、私の支援経験上の感覚値です。企業や職種、市況によって変わります。
「とりあえず応募しましょう」は正しい場合と間違っている場合がある
まず前提として、1〜2社落ちただけで「自分には市場価値がない」と判断するのは早すぎます。
採用は相性です。求人票には出ていない社内事情、タイミング、他候補者との比較、採用要件の変化もあります。1社落ちた理由が、別の会社ではまったく問題にならないこともあります。
一方で、応募数を増やせば何でも解決するわけでもありません。応募数は目的ではなく、選考結果から傾向を見るための材料です。
私の支援経験上、30〜40社程度応募すると、書類通過の傾向が少し見えてきます。30〜40社応募して書類通過率が10%以下の場合は、何かしら原因を疑ったほうがいい場面が多いです。
大量応募が必要になりやすい人
企業によって初期段階で見方が分かれやすい経歴の人は、ある程度応募母数が必要になることがあります。
- 直近で短期離職がある
- 転職回数が多い
- 学歴や中退歴が選考で見られやすい
- 年齢と経験内容のバランスを厳しく見られやすい
- 定着性への懸念を持たれやすい
これは「悪い経歴」という話ではありません。企業ごとに基準が違うという話です。
たとえば短期離職をかなり警戒する企業もあれば、退職理由と次の転職軸が整理されていれば問題にしない企業もあります。採用コストや育成コストを考えると、企業が定着性を見るのは自然です。ただ、その見方は会社によってかなり違います。
だからこそ、こうした懸念がある人は、数社だけで判断せず、一定の応募母数を取りながら傾向を見る必要があります。
大量応募より先に職務経歴書を見直すべき人
一方で、短期離職や転職回数など大きな懸念が少ないのに書類が通らない場合は、職務経歴書や応募求人の選び方を疑ったほうがいいです。
職務経歴書でよくあるのが、「やったことの羅列」で終わっているケースです。
採用担当が知りたいのは、単に何を担当したかではありません。実際にどう働いたのか。どんな環境で、どんな課題があり、自分がどう考えて動いたのか。そして、環境が変わっても何を再現できるのかです。
薄い職務経歴書は、経験が伝わらないだけではありません。企業側から見ると、「準備不足かもしれない」「相手が必要な情報を想像できていないかもしれない」と見えることもあります。少し厳しいですが、書類は仕事の進め方までにじみます。
書類通過率が低いときのチェックポイント
| 見るべき点 | 確認すること |
|---|---|
| 応募求人 | 経験と求人要件のズレが大きすぎないか |
| 職務経歴書 | 成果だけでなく、プロセスと再現性が伝わるか |
| 懸念点 | 短期離職・転職回数・年齢とのバランスを説明できるか |
| 紹介理由 | エージェントがなぜその求人を紹介したか説明できるか |
求人紹介の質そのものを見直したい場合は、親記事の良い転職エージェントは「受かる求人」だけを紹介しないも参考にしてください。
面接は「落ちた数」より「なぜ落ちたか」を見る
面接で落ちたときも、数だけを見てもあまり意味がありません。
スキル不足や経験不足など、すぐには改善しづらい理由もあります。一方で、Q&Aのズレ、話し方、表情、志望動機、退職理由の伝え方など、改善できる理由もあります。
面接は模範回答大会ではありません。綺麗に話すことより、自分の実際の原体験と発言がつながっているかが大事です。本音を言うことと、他責に見えることは違います。
面接での見られ方を詳しく確認したい方は、既存記事の【面接対策】最終面接で落ちないために|プロが教える5大NG理由とその対策もあわせて読んでみてください。
「とりあえず応募」が危険なケース
危険なのは、エージェントが求人を紹介した理由を説明できないケースです。
「人気だから」「みんな受けているから」「とりあえず」で終わるなら、その応募はあなたのキャリアのためというより、単に応募数を増やしたいだけかもしれません。
一方で、次のように説明できるなら、たとえ難しい求人でも挑戦する価値はあります。
- 自分のどの経験が評価される可能性があるか
- どこが不足しているか
- キャリア上どんな意味があるか
- 通過可能性や懸念点はどの程度か
求人票の必須要件を満たしていない場合でも、経験の濃さや再現性によって選考対象になることがあります。詳しくは求人票の「必須要件」を満たしていなくても応募していい?現役転職エージェントが解説で解説しています。
応募数は「自分を知るためのデータ」として使う
応募数を増やすこと自体が悪いわけではありません。大事なのは、その結果をどう使うかです。
書類が通らないのか。一次面接で落ちるのか。最終面接で落ちるのか。どの企業群で通って、どの企業群で落ちているのか。ここを見ると、自分の市場での見え方が少しずつ分かります。
良い悪いを自分軸だけで断定しないことも大事です。「この会社は見る目がない」と切り捨てるのも、「自分は価値がない」と落ち込むのも早いです。
株式会社自分として会社と向き合い、自分が何を得たいかだけでなく、どんなバリューを提供できるかも整理していきましょう。
FAQ
30社応募しないと転職できませんか?
そんなことはありません。数社で決まる人もいます。ただ、経歴上の懸念が企業によって分かれやすい人や、選考傾向を見たい人は、一定の応募母数が必要になることがあります。
書類通過率10%以下なら何を直すべきですか?
まず応募求人のズレと職務経歴書を見直してください。短期離職や転職回数などの懸念がある場合は、説明の仕方も重要です。
エージェントに大量応募をすすめられたら断っていいですか?
断っても問題ありません。ただし、まずは「なぜその応募数が必要なのか」「どの求人から優先すべきか」を聞いてみるのがおすすめです。
まとめ:「応募数」ではなく「理由」と「傾向」を見る
「とりあえず応募しましょう」は、正しい場合も間違っている場合もあります。
大切なのは、応募数そのものではなく、なぜその応募数が必要なのか。そして、選考結果から何を読み取るのかです。
1〜2社落ちただけで市場価値を決めつける必要はありません。ただ、30〜40社応募しても書類通過率がかなり低い場合は、職務経歴書、応募求人、経歴上の懸念の伝え方を見直したほうがいいです。
求人紹介に違和感があるなら、「なぜこの求人を私に紹介したんですか?」と聞いてみてください。その答えに、エージェントの質が出ます。