面接での年収の伝え方|3パターン完全テンプレート
面接で「希望年収はいくらですか?」と聞かれたとき、どう答えるかは転職成功のカギを握ります。高すぎても「強気すぎる」、低すぎても「控えめすぎる」と見られてしまうため、バランスが重要です。
実際に20〜39歳の転職経験者へのアンケートでは、60.5%が面接中に希望年収を聞かれたと回答。また、76.9%が「答え方が選考結果に影響した」と感じているというデータもあります。
つまり、希望年収の伝え方は「受け答えのマナー」ではなく、「企業にどう映るか」を左右する戦略です。今回は、どんな状況でも使える3つの回答パターンをテンプレート化して紹介します。
なぜ企業は希望年収を聞くのか?【企業側の意図】
まず理解しておきたいのは、企業がこの質問をする理由です。人事や面接官は、単に「金額」を知りたいわけではありません。次の3つの観点から、あなたの考え方を見ています。
- ① 自社の給与レンジとマッチしているか
- ② 市場価値や経験に見合った自己認識を持っているか
- ③ 年収以外の価値観(成長・環境・やりがい)をどう考えているか
このため、「希望額+柔軟さ」をセットで伝えることが大切です。年収交渉は主張ではなく対話。誠実さと根拠のバランスが、最終的に信頼を生みます。
① 年収を下げてでも入りたいパターン
ポイント: 志望企業への熱意を示しながら、「給与よりも経験・成長」を重視している姿勢を伝えるのがコツです。ただし、極端に低い金額を伝えると後の交渉が難しくなるため注意。
現職とのバランスを考えると〇〇万円程度を希望しております。
ただ、それ以上に御社の事業内容や環境に魅力を感じており、ぜひ一緒に働きたいという思いが強いです。
そのため、最終的には御社の規定や評価制度に合わせて柔軟に考えたいと思っております。
💡 エージェント視点: 「御社で成長したい」という前向きな理由を添えると誠実な印象になります。逆に「年収は気にしません」など曖昧に伝えると、「本当に戦力になるのか?」と不安を与えかねません。
企業側の反応: この回答は「意欲が高い」「協調性がある」と評価されやすい一方、あまりにも金額を下げすぎると「自己評価が低い」と見られるリスクも。最低ラインは明確に持っておきましょう。
② 年収を上げたいけど柔らかく伝えたいパターン
ポイント: 希望額を明確に伝えつつ、柔らかく「相談ベース」で表現するのがコツ。成果やスキルを根拠として示すと説得力が上がります。
これまでの経験と成果を踏まえ、〇〇万円程度を希望しております。
もちろん、御社の職務内容や評価制度を拝見したうえで、柔軟に相談させていただければと思っております。
最終的には、御社で長期的に価値を発揮できる形で検討したいです。
💡 エージェント視点: 「〜と考えております」「〜できれば」といったクッション言葉を使うと、押しつけがましさを防げます。また、強すぎる言い方を避け、「貢献に見合う待遇を相談したい」というトーンを意識すると好印象です。
企業側の反応: 論理的に根拠を示せていれば、むしろプラス評価。「成果をもとに交渉してくる=自分の市場価値を理解している人」と見なされることもあります。
③ 市場相場を意識した現実的パターン
ポイント: 「現職+市場相場」を根拠にすることで、客観的で冷静な印象を与えられます。特にエンジニア・PMなど、市場価値の変動が大きい職種におすすめです。
現職の年収と市場相場を踏まえると、〇〇万円前後が妥当かと考えております。
ただ、御社での役割や期待値を伺いながら、最終的には御社の評価制度に沿って決めさせていただければと思います。
💡 エージェント視点: 「市場相場を理解している=冷静でプロフェッショナル」という印象を与えられます。数字だけでなく、根拠をセットで語ることがポイントです。
企業側の反応: 市場を踏まえて発言できる候補者は「経営感覚がある」と評価されやすいです。一方で、相場より大幅に高い希望を出すと「自己評価が高すぎる」と判断されるため注意が必要です。
よくあるNG回答例とその理由
- 「御社にお任せします」→ 本音が見えず、主体性がない印象に。
- 「今より上がるなら何でも」→ 年収目的だと誤解されやすい。
- 「業界平均でお願いします」→ 自分の強みを棚上げしてしまう。
どれも「自分の価値観を伝えていない」という共通点があります。希望額は“金額”ではなく“軸”を示す機会です。成長、貢献、柔軟さなど、何を重視しているのかを言葉にしましょう。
まとめ|誠実さ × 柔軟さ × 根拠がカギ
どのパターンでも共通して重要なのは、「希望額を伝える → でも柔軟に合わせます」という流れです。これだけで、企業側の印象は大きく変わります。
希望年収の質問は、あなたと企業の「交渉」ではなく「対話」です。誠実で前向きな姿勢を見せることが、結果的に最良の条件を引き寄せます。
企業側の本音: 面接官は「この人をこの年収で採用する理由」を探しています。数字だけでなく、根拠・柔軟性・意欲を添えて伝えることで、「ぜひ通したい候補者」になれるはずです。
転職エージェントとしての経験からも、年収の伝え方は「誠実さ・柔軟さ・根拠」の3つがすべてそろって初めて成功します。あなたの言葉に“温度”をのせて伝えましょう。